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刑訴法298条2項は、当事者の請求に基づく証拠調べを補充するものとして、「必要と認めるとき」に、裁判所が職権で証拠調べをする権限を認めている。また、刑訴規則208条では、裁判長および陪席裁判官が、訴訟関係人に対して立証を促すことができるとされている。こうした権限の存在を前提に、その職権発動が義務となる場合があるのかという点が、現行法の基本構造に係わる問題として、早くから議論の対象とされてきた。本判決は、次のように述べて、裁判所には、原則として、職権証拠調べの義務および検察官に対して立証を促す義務はないとしつつ、当該事案については、職権を発動せずに直ちに無罪を言い渡した第1審裁判所の措置には、審理不尽に基づく理由不備または事実誤認があるとした。

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