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被告人Xは、「数名の者と共謀の上、……交叉点道路上に於いて警備の任に当っていた……〔警察官〕Aを殺害せんと企て、同人を捕捉し角材、旗竿で殴打し、足蹴し顔面を踏みつけた上、火炎瓶を投げつけ焼く等の暴行を加え、よってAを……死亡させて殺害した」という殺人の共同正犯の事実で起訴された。第1審では、第1回公判期日において、検察官が、Xは実行共同正犯であり、その具体的行為は、炎の中からAをひきずり出し顔を踏みつけるなどした行為である旨釈明し、冒頭陳述においても同様のことを述べたため、その後の公判においては、専ら、Xの上記行為が殺人の実行行為なのか、救助行為としての消火行為なのかが争点とされた。ところが、第1回公判期日から約2年6か月後の第18回公判期日において、検察官は、上記釈明および冒頭陳述を訂正し、Xの行為として、上記行為の前に、「Aの腰部附近を足げにし、路上に転倒させた」行為を追加すると述べ、裁判長がその追加訂正を許さなかったため、さらに、同内容の訴因変更を申し立てた。しかし、裁判長は、本件審理が長期にわたっており、また結審段階にきていることを理由に、訴因変更も許さなかった。本判決は、訴因変更の許否について、次のような一般論を述べたうえ、結論として第1審の上記措置を相当とした。

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