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Ⅰ はじめに

近年、欧州を中心としてSDGs(持続可能な発展目標)と競争法の問題が活発に議論されるようになっている。その影響は我が国にも及んでおり、公正取引委員会は、2023年3月31日、「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(以下「グリーンガイドライン」という)を策定している1)2)。グリーンガイドラインは、基本的には、グリーン社会の問題に限定して、既存の独占禁止法上の考え方の「明確化」を図るというものであるが、「社会公共的に望ましい目的のために実施され、消費者利益をもたらすことが期待されている取組は、温室効果ガス削減に向けた取組以外にも様々なものがあり、同様に社会公共的に望ましい目的のために実施される『持続可能な開発目標(SDGs)』達成に向けた事業者等の取組についても、行為の性質を踏まえれば、本考え方が示す判断枠組み等を適用できる可能性が高い」3)ともされている。他方で、SDGsの実現に向けた取組には多種多様なものが存在し得るため、その社会的評価が一致しない可能性があることもまた事実である。¶001