FONT SIZE
S
M
L

Ⅰ はじめに

「持続可能な発展目標(Sustainable Development Goals: SDGs)と法」をめぐる議論が特に環境法や国際法を中心に盛んである。経済法の分野では、主に環境問題と競争法(独占禁止法制)、国家補助(state aid)規制との関係を論じる研究は見られたものの、人権、労働、資源保全、地域社会等に関するSDGsとの関係で論じられることは少なく、また競争法、国家補助規制以外の経済法領域にまで視野を広げて、SDGsの推進に向けた経済法制度のあり方を検討しようという研究も少なかったように思われる。本稿を初回として行われる本連載は、東京経済法研究会における共同研究をベースにして、SDGsと独占禁止法・競争法や国家補助規制との関係を論じるとともに、多少とも新しい経済法上の諸問題にも取り組んでみようという試みの1つである1)¶001