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Ⅰ 宇宙開発の背景
1 近年の宇宙開発
宇宙開発というと、第二次世界大戦後の冷戦時代における米ソの宇宙開発競争を思い浮かべる人がいまだに多いかもしれない。冷戦時代には、国家主導による宇宙開発競争が展開された。¶001
これに対して、近年の宇宙開発は、国家ではなく民間企業が主導する形に変貌し、加速しつつある。各国で、営利目的のスタートアップ企業が積極的に参入してきた。代表例として、米国のSpaceX社はロケットの打上げ等を主な事業内容としており、すでに数多くのロケット打上げの実績がある。同社は、2020年に、民間企業による初の有人宇宙飛行を成功させた。日本でも、2023年に、宇宙開発企業2社が立て続けに東京証券取引所に上場し、世間の注目を集めた。株式会社ispaceは、月面探査を目指す企業で、月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッションに取り組んでいる。株式会社QPS研究所は、小型人工衛星開発の技術を持つ企業で、すでに2機の商用小型衛星を運用している。¶002