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本稿は、第22回行政法研究フォーラムの後半の質疑応答を、ご司会の大貫先生と北村先生にまとめていただいたものです。(編集部)

北村討議では、板垣報告への質問から始めたいと思います。¶001

初めに、上智大学の北村喜宣さんからの質問です。意思能力に欠けるが成年後見人が付いていない者について、その不作為により法律、条例上の問題が生じている場合への対応。「命ずるいとまがない」ときに、成し得る特例緊急代執行はあるが、「命ずる」とあるため、命じようとすれば命じられることが前提となっている。したがって、そうした常況にある者に対しては何もできない。この場合には、即時執行による対応になるだろうが、場合によっては、老朽危険案件空き家の除却もあり得る。しかし、原因者の常況について規定するわけにもいかないから、一般的制度にもできないということで、いかがお考えかという質問です。これに関連して、弁護士の阿部泰隆さんからも、「相手方が認知症でも執行できる仕組みはないだろうか」ということで、代理人を裁判所に選任させるか、成年後見人を選任させるかといった提案が挙げられています。¶002