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Ⅰ はじめに

1 本稿の目的

ある法規制の内容を実現するための手段(エンフォースメントの手段)を複線化することは、以前から積極的に促進される傾向にある。その結果、行政によるエンフォースメントと訴訟によるエンフォースメントが併存する場合は広く存在している1)。とりわけ近年では、斎藤誠教授による本特集の企画説明(「特集にあたって」)にもあるとおり、経済法・消費者法の分野で新たな民事訴訟の手法が導入され、両者の関係をどのように捉えるべきかという問題があらためて重要な論点となっている。また、直近では、経済法の分野よりも消費者法(特に、景表法および特商法)の分野における議論が盛んであるように思われる。このようなことを踏まえ、本稿は、主として消費者法の分野を取り上げつつ、標題の問題について検討してみたい2)¶001