Ⅰ 1993年(平成5年)
平成5年決定は、成城学園前駅付近の構造の変更を含むもので、その内容は、都市計画事業における行政裁量のあり方が問われた本件事業認可取消訴訟における中心的争点となった。平成5年決定による変更により、本件鉄道事業の対象である喜多見駅付近から梅ヶ丘駅付近の構造は、①世田谷区喜多見9丁目から成城4丁目の約620mは嵩上式、②世田谷区成城4丁目から成城6丁目の約870mは掘削式、③世田谷区成城6丁目から代田3丁目の約5520mは嵩上式、となった。¶001
東京都が、「9号線都市計画」として、起点を喜多見駅付近、終点を綾瀬駅付近とし、延長32.5kmとする内容の都市計画案の策定をした。建設大臣は旧都市計画法(昭和43年に廃止される前のもの)3条の規定に基づいてこれを都市計画決定し、昭和39年12月16日付け建設省告示3379号により告示した。
連続立体交差事業と付属街路事業の事業主である都が、喜多見駅~梅ヶ丘駅間を高架化し、成城学園前駅付近のみを地下化とする内容の都市計画変更を決定(以下「平成5年決定」という)。もっと詳しく
6月に、建設大臣による喜多見駅~梅ヶ丘駅間の都市計画事業の認可(以下「本件事業認可」)の告示があり、同月、高架化反対住民らによる、建設大臣を被告とする「小田急線事業認可取消訴訟」(以下「本件事業認可取消訴訟」という)の提起がなされた。また、12月に工事の着手がされた。もっと詳しく
10月3日に、本件事業認可取消訴訟の東京地裁判決(東京地判平成13・10・3訟月48巻10号2437頁)が下される。藤山雅行裁判長による事業認可取消判決。原告勝訴。もっと詳しく
12月に世田谷地区の立体化が完成。
12月に、本件事業認可取消訴訟の控訴審判決が下される(東京高判平成15・12・18訟月50巻8号2332頁)。第1審判決から一転して、原告敗訴。本件鉄道事業認可の取消しの訴えについては訴えを却下し、本件付属街路事業については、同事業地の地権者にのみ原告適格を認めたうえで、同事業認可の前提となる平成5年決定は適法であったとして請求を棄却した。
6月に、本件事業認可取消訴訟の原告適格の判断に大きな影響を与えた行政事件訴訟法の改正が行われる。また、11月に世田谷地区の複々線化が完成。もっと詳しく
本件事業認可取消訴訟の最高裁大法廷判決(最大判平成17・12・7民集59巻10号2645頁)が下される。都市計画事業認可取消訴訟における第三者の原告適格について、従来の最高裁判例を変更し、事業地周辺の住民(一部)に原告適格を認める。もっと詳しく
平成17年最高裁大法廷判決を受けた、本件事業認可取消訴訟の本案に関する最高裁判決(最判平成18・11・2民集60巻9号3249頁)が下される。都市計画決定(平成5年決定)に関する裁量判断を適法と判断。もっと詳しく
平成5年決定は、成城学園前駅付近の構造の変更を含むもので、その内容は、都市計画事業における行政裁量のあり方が問われた本件事業認可取消訴訟における中心的争点となった。平成5年決定による変更により、本件鉄道事業の対象である喜多見駅付近から梅ヶ丘駅付近の構造は、①世田谷区喜多見9丁目から成城4丁目の約620mは嵩上式、②世田谷区成城4丁目から成城6丁目の約870mは掘削式、③世田谷区成城6丁目から代田3丁目の約5520mは嵩上式、となった。¶001