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X株式会社(本案訴訟原告・本件申立人・抗告人)は、Y株式会社(本案訴訟被告・本件相手方)に対する損害賠償請求訴訟の係属中に、この債権を訴外Z株式会社(本件相手方)に譲渡し、Zに対して訴訟引受けを申し立てたが却下されたので、Xが抗告した。

東京高裁は、次のとおり判示してXの抗告を棄却した。「権利の譲受人が当該権利についての既存の訴訟状態を承継することを欲する場合には、いつでもみずから民事訴訟法73条、71条〔現行民訴49条、47条1項・4項〕に基づき訴訟参加の申出をすることによってそれが可能であるから、譲受人に既存の訴訟状態を承継させるため訴訟引受の申立をすることが譲渡人の義務であると解することはできない。……もっとも、譲渡人に右のような訴訟引受の申立を許すことにすれば、譲渡人としては、相手方の承諾を得られる限り、訴訟より脱退することにより、敗訴判決を免れることができるわけであるが、右脱退についての相手方の承諾は必ず得られるとは限らないのであるから、この関係から前段の判断を動かすことはできない。……譲受人としては、みずから訴訟参加の申出をするよりは、譲渡人からの訴訟引受の申立により訴訟を承継したほうが手数料の面で有利であることは否めない。しかしながら、このことをもって、譲渡人に前記のような訴訟引受申立の利益があるとすることはできないし、また、前記のような訴訟引受の申立を許さないことが訴訟経済に反するということもできない」。

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