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X1・X2(原告・被控訴人・被上告人)は共同して、本件土地を買い受けたが、X1・X2の長男であるY(被告・控訴人・上告人)の名義で所有権移転登記を行った。その後、Yが真実の所有者のように振る舞うようになったため、X1・X2はYに対して、本件土地の共有権の確認および抹消登記に代わる移転登記を求めて訴えを提起した。第一審係属中、X1は訴えの取下げを申し立て、Yが同意したが、第一審裁判所はX1の訴えの取下げを無効とし、X1・X2の請求を認容した。Yは控訴したが、控訴審もX1の取下げを無効として控訴を棄却したので、Yが上告した。本判決は、次のように判示して上告を棄却した。「一個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、いわゆる共有権(数人が共同して有する一個の所有権)に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である……。けだし、この場合には、共有者全員の有する一個の所有権そのものが紛争の対象となっているのであって、共有者全員が共同して訴訟追行権を有し、その紛争の解決いかんについては共有者全員が法律上利害関係を有するから、その判決による解決は全員に矛盾なくなされることが要請され、かつ、紛争の合理的解決をはかるべき訴訟制度のたてまえからするも、共有者全員につき合一に確定する必要があるというべきだからである。また、これと同様に、一個の不動産を共有する数名の者全員が、共同原告となって、共有権に基づき所有権移転登記手続を求めているときは、その訴訟の形態も固有必要的共同訴訟と解するのが相当であり……、その移転登記請求が真正な所有名義の回復の目的に出たものであったとしても、その理は異ならない」。「それゆえ、このような訴訟の係属中に共同原告の一人が訴の取下げをしても、その取下げは効力を生じないものというべきである」。

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