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Aは、戸籍上B・Cの嫡出子であったが、B・Cは死亡し、Aも戦死している。X(原告・控訴人・上告人)は、実はAはX(母)とDの子であると主張し、検察官を被告(被控訴人・被上告人)として、「AはXの子であることを確認する」旨の判決を求める訴えを提起した。第一審は訴えを却下し、原審も控訴を棄却した。Xは、恩給法に基づくAの遺族扶助料を受けるために戸籍訂正の必要があり、訴えは適法である旨を主張し、上告。

破棄差戻し。「親子関係は、父母の両者または子のいずれか一方が死亡した後でも、生存する一方にとって、身分関係の基本となる法律関係であり、それによって生じた法律効果につき現在法律上の紛争が存在し、その解決のために右の法律関係につき確認を求める必要がある場合があることはいうまでもなく、戸籍の記載が真実と異なる場合には戸籍法116条により確定判決に基づき右記載を訂正して真実の身分関係を明らかにする利益が認められる」。人事訴訟手続法(現人事訴訟法)上、婚姻無効、養子縁組の無効の訴え等が、当事者の一方の死亡後でも、検察官を相手方として認められる旨を定めるのもこの趣旨による。「したがって、父母の両者または子のいずれか一方が死亡した後でも、右人事訴訟手続法の各規定を類推し、生存する一方において死亡した一方との間の親子関係の存否確認の訴を提起……することができ、この場合における相手方は検察官とすべき」である。

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