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 事実の概要 

本件は、建設作業中建材から石綿(アスベスト)粉塵に曝露して石綿肺、肺癌、中皮腫等にり患したとする者またはその承継人Xらが、国交省等の石綿含有建材データベースの登録企業のうち44社に、石綿の癌原性判明後も警告表示をせず石綿含有建材を製造・販売した行為等を不法行為とし、損害賠償請求(包括一律請求)した事件である(国に対する国家賠償請求については本書の行政法9に譲る)。Xらは当初、各人の請求全てにつき44社全社を被告としたが、控訴審で「主要曝露建材」(前記データベース登録建材のうち、販売地域・使用目的、就労期間と製造期間の関係、被災者の職種等から主要な曝露の原因としたもの)を被災者ごとに「絞り込み」、これらの建材の製造販売企業のうち市場占有率の高い企業を相手に、民法719条1項の(類推)適用を主張した。¶001