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事実の概要

主に神奈川県内において建設作業に従事した75名(Xら。その承継人を含む)は、アスベスト含有建材の粉塵を吸引したことにより、中皮腫・石綿肺・肺癌等に罹患した旨を主張し、国に対して国家賠償請求を、また建材メーカーY1~Y6(Yら)に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。¶001

一審(横浜地判平成24・5・25訟月59巻5号1157頁)は全面的に請求を棄却した。二審(東京高判平成29・10・27判タ1444号137頁)は、Yらに対しては、責任の成立に現場への建材の到達の証明を必要とした上で、一部原告につき到達を否定し、また他の一部原告につき警告表示義務違反を否定し、残りの43名のうち中皮腫の4名については民法719条1項後段を適用し集団的寄与度(1/3)の範囲で連帯責任を認め、他の者は709条に基づき寄与度に応じた分割責任を認めた。Xら・Yら双方から上告受理申立てがなされた。¶002