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 事実の概要 

本件は主に神奈川県内において、屋内建設現場での建設作業に従事し、石綿(アスベスト)粉じんにばく露したことにより、石綿肺、肺がん、中皮腫等の石綿関連疾患に罹患したと主張する者またはその承継人(Xら)が損害賠償を求めた事案である。この請求のうち、国( Y )を被告とするものは、建設作業従事者が石綿含有建材から生ずる石綿粉じんにばく露することを防止するために、Yが労働安全衛生法(以下、「安衛法」という)に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法(以下、「国賠法」という)1条1項に基づく損害賠償を求めたものである(建材メーカーらを被告とする請求については、本稿では扱わない)。¶001