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法は芸術といかにかかわるか。¶001
従来は憲法の領域(表現の自由)ないし著作権法に関心が集中していた。しかし、おそらく世界的にも1990年代頃から(たとえば、イギリスのThe Institute of Art & Law〔1995-〕)、取引法(美術品取引)への関心が高まっている。¶002
本書は、日本で2010年代前半から先駆的な取組を続ける著者による、美術品をめぐる世界の裁判事例を広く収集したいわば判例集(の第1巻)である。やむことのない贋作の流通、国境を越える美術品の移動に伴う関税の問題、美術の評価(毀誉褒貶というべきか)をめぐる名誉毀損紛争など、全21件の世界の裁判例が紹介される。対象となる事案も、フェルメール、シャガール、モネ、レオナルド・ダ・ヴィンチなど著名な芸術家の作品、時に芸術家本人も巻き込んだものであり、読者の関心をそそる。¶003