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Ⅰ インボイス制度の実施をめぐる現状
「インボイス1)なき消費税」は、日本の消費税の大きな特徴である2)。現行消費税法(以下「現行法」という)のもとでは、請求書発行者のステータス(納税義務のある事業者か、納税義務が免除される事業者か、事業者でない個人か)を問わず、それらからの仕入れについてすべて税額控除が認められる。このような特異な仕組みが、1989年の消費税導入以来一貫して維持されてきた。¶001
この仕組みは、納税義務が免除される小規模事業者が取引から排除されないためと説明されてきた。さらに、この仕組みのもとで安定的な税収を確保してきたことから3)、「日本ではインボイスがない消費税でも問題はない」というのが一般的な受け止め方だったかもしれない。¶002