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事実

X(原告・控訴人=被控訴人・上告人)は一般職の国家公務員(経済産業省職員)である。生物学的性別は男性であるが、平成11年頃に専門医から性同一性障害の診断を受け、同20年頃から女性として私生活を送るようになった。¶001

Xは、平成21年7月、上司に自らの性同一性障害につき伝え、同年10月、女性の服装での勤務、女性トイレ使用等の要望を申し入れた。同22年7月、Xが執務する部署の職員にXの性同一性障害につき説明する会(本件説明会)が開かれ、担当職員から数名の女性職員が違和感を抱いているように見えたこと等を踏まえ、Xに対し、執務室がある庁舎(本件庁舎)の内、執務階とその上下の階の女性トイレ使用は認めず、それ以外の階の女性トイレの使用を認める旨の処遇(本件処遇)が実施された。Xは主に執務階から2階離れた女性トイレを使用するようになった。¶002