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事実

X(原告)は、「OLYMBEER」の欧文字を上段に、またその下段に当該欧文字の表音文字である「オリンビアー」の片仮名を配して二段書きにしてなる商標(登録第6323630号。指定商品第32類〔ビール、清涼飲料等〕。以下「本件商標」という)の商標権者である。令和3年2月24日、商標異議申立人コミッティーインターナショナルオリンピック(以下「異議申立人」という)は、本件商標について、商標「OLYMPIC」「OLYMPIAN」を引用商標として、商標法4条1項7号、11号及び15号を理由とする登録異議の申立てをなした。特許庁は、同年12月23日、Xに対し、職権で、本件商標は、「オリンピック(OLYMPIC)」及び「オリンピック競技大会」を表す「OLYMPIAD」及び「オリンピアード」の文字(以下「引用標章」という)との関係で、商標法4条1項6号に違反して登録されたものであるから、同法43条の3第2項に基づいて、取り消すべきものである旨の取消理由を通知し、令和4年5月24日、本件取消決定をした(異議2021-900067号)。本件取消決定の理由の要旨は、①引用標章は、異議申立人に係る公益に関する事業であって営利を目的としない事業である「オリンピック(OLYMPIC)」及び「オリンピック競技大会」を表象するものとして、本件商標の登録出願時には、我が国はもとより世界的に著名となっていたものと認められ、かつ、その状態は商標法4条1項6号該当性の判断時期であるその登録査定時においても継続していた、②本件商標と引用標章とは、外観において共通性を有し、称呼の類似性は高く、観念において近似した印象を有するものであり、商標法4条1項6号が同号に掲げる団体の公共性に鑑み、その権威を尊重するとともに、出所の混同を防いで需要者の利益を保護するという趣旨を踏まえて総合的に判断すれば、両者は、相紛らわしい類似する商標というのが相当である、というものであった。Xは、令和4年7月2日、本件取消決定の取消しを求めて本件訴訟を提起した。¶001