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はじめに
戦争が終わり、平和へ向かう過程には、多様な国際アクターが関わってきた。平和構築や移行期正義の名のもとに、国際機関や多国籍軍による平和維持活動の政治化や暫定統治を通じた民主化と法の支配の確立といった国際介入の試みは、同時にそこで活躍する諸アクターの行動規範の必要性を高めている。紛争への国際介入が活発化した2000年代以降、「戦争の終わり」に関する規範についての議論が再燃し、「jus post bellum(ユス・ポスト・ベルム)」と呼ばれる規範的空間の認識、および具体的規範の必要性に関する議論が行われてきた。しかし、jus post bellumはそれ自体が多面的な概念であり、論者の目的に応じて使い分けが行われてきた。jus post bellum論の論点は一定程度明らかになりつつあるが、そもそもこの概念を使い続けることにはどのような意義があるのかについては依然見解が分かれている。¶001