FONT SIZE
S
M
L

本書は、わが国を代表する経済法研究者の一人である泉水文雄氏(神戸大学名誉教授・公正取引委員会委員)による、独占禁止法(独禁法)に関する体系書である。¶001

本書は、独禁法の実体規定を網羅するとともに、手続規定や国際適用に関する解説を加え、「個別分野と競争」との表題の下、知財法、景表法、デジタルプラットフォーム取引透明化法と独禁法との関係までも検討の対象としている。このように、本書は独禁法の体系書である上に、独禁法の周辺関連法までを俯瞰する経済法の体系書とも呼べるものである。扱う論点は網羅的であり、労働市場における独禁法の適用問題やデジタルプラットフォームと消費者優越の問題など、先端的な課題についても詳しく説明がなされている。このような検討対象の圧倒的な広さは、本書の大きな特徴である。¶002