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Ⅰ デジタルアーカイブ推進の経緯

デジタルアーカイブという概念は、1994年に月尾嘉男氏(東京大学名誉教授)により「有形・無形の文化資産をデジタル情報の形で記録し、その情報をデータベース化して保管し、随時閲覧・鑑賞、情報ネットワークを利用して情報発信」するという意味合いで提唱されたとされる1)。情報技術の普及が始まった20世紀後半から、国や地方自治体においてデジタルアーカイブに関連する施策は進められてきたが2)、その推進政策の位置付けは我が国の情報関連政策の展開に合わせ幾度かの変遷を経てきている。デジタルアーカイブという語自体が内閣レベルの政策文書に現れ始めたのは、知的財産戦略本部ができる前の2001年に高度情報通信ネットワーク社会戦略推進本部(IT戦略本部)が策定したe-Japan重点計画の頃からのようである3)。同計画の重点政策5分野「①高度情報通信ネットワークの形成」「②教育及び学習の振興並びに人材の育成」「③電子商取引」「④行政・公共分野の情報化」「⑤ネットワークの安全性・信頼性の確保」のうち、デジタルアーカイブ関連施策は②の中の「教育用コンテンツの充実」と④の「公共分野」のうち「芸術・文化分野の情報化」に置かれ、博物館や図書館等の保有する学習資源のデジタル化による教育利用、2008年に正式公開される文化遺産オンラインにつながる公共施設としてのアーカイブ機関のIT化対応など、文化・教育分野のIT化施策としての位置付けが見て取れる。¶001