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 事実の概要 

トルコ国籍クルド人であるX(原告・控訴人)は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)61条の2に基づき難民認定申請をしたところ、Y(国─被告・被控訴人)から難民を認定しない処分(以下「難民不認定処分」)と在留を特別に許可しない処分(以下「在特不許可処分」)を受けた。そこで、Xは、難民不認定処分の取消しと在特不許可処分の無効確認を求めて訴えを提起した。¶001

原判決(札幌地判令和3・1・28 LEX/DB 25569226)は、難民該当性の立証について、「法務大臣は、……〔難民認定申請者の〕提出した資料に基づき、その者が難民である旨の認定を行うことができる」と規定する入管法61条の2により、「難民認定は、いわゆる授益処分に当たるものである」とした上で、授益処分については、一般に、「その処分を受ける者が、根拠法令の定める処分要件が充足されていることについて立証責任を負担する」から、「難民該当性の立証責任は、難民認定申請者にある」としていた。また、「当該事実の認定が自由心証主義(行政事件訴訟法7条、民事訴訟法247条)によるべきことは通常の訴訟と同様であり、その立証の程度を一律に緩和すべき理由はない」などとして、Xの請求をいずれも棄却していた。¶002