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はじめに
本解説では、令和3年9月から令和4年9月に出された国際法に関する論点を含む国内裁判例を紹介する。また、日本と関係のある、あるいは国際法の観点から注目される外国裁判所および国際裁判所の裁判例も適宜取り上げる。¶001
Ⅰ 国内裁判における国際法の適用
1 個人の権利保障を国に対して条約に直接依拠して請求し得るか
個人が国内裁判において条約を根拠として権利主張をなし得るかは、主としてⅣで後述する人権関連の訴訟で争点となったが、対象期間の判断の大半においては、関連条約規定が個人が即時に裁判で援用できるような具体的な権利を付与していないとして訴えが退けられている。¶002