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 事実の概要 

通信販売業者であるX(原告)は、お節料理である7つの商品(以下、「本件7商品」という)について、セール価格である「スーパー早割価格」、「早割価格」、「特別価格」、「歳末特別価格」または「テレショップ特別価格」による販売、もしくは、「通常価格」による販売を行うとして、少なくとも平成29年9月15日~同年12月27日の間、自社ウェブサイト、ヤフーウェブサイト(以下、「X各ウェブサイト」という)、新聞広告、カタログ「かに・おせち特別号Vol. 2」(以下、「本件カタログ」という)、チラシ「おせちVol. 2」(以下、「本件11月チラシ」という)、チラシ「おせちVol. 4」(以下、「本件12月チラシ」といい、本件カタログ、本件11月チラシおよび本件12月チラシを併せて「本件カタログ等」という)に、広告表示を掲載し、また、テレビ、ラジオ等の媒体による広告を放送した。本件カタログ等(ただし、本件12月チラシを除く)には、いずれも、本件7商品について、「通常価格」と称する価格とこれに対応する商品番号およびこれより安価のセール価格(本件カタログにつき「スーパー早割価格」と称する価格〔セール価格適用期間:平成29年10月7日~同年11月15日〕、本件11月チラシにつき「特別価格」と称する価格〔セール価格適用期間:同年11月9日~同月30日〕)とこれらに対応する商品番号がそれぞれ記載され、本件12月チラシには、本件7商品について、「通常価格」と称する価格を記載してこれに抹消線を表示したうえで「歳末特別価格」(セール価格適用期間:同年12月1日~同月26日〔最終申込締切日:同月27日〕)と称する価格とこれに対応する商品番号が記載されていた。Xは、平成29年12月に、X各ウェブサイトにおいて、本件7商品について、判決文にある別表3-1~7の各「歳末特別価格」による販売に関する広告表示として、別表2の「表示媒体」欄記載の各媒体において、「商品」欄記載の各商品について、「表示期間」欄記載の各期間、「表示内容」欄記載の各広告表示(本件各表示)をした。Xは、本件7商品を一般消費者に販売するにあたり、判決別表2「表示媒体」欄記載の自社ウェブサイトにおいて、同表「商品」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示内容」欄記載のとおり記載することにより、あたかも、「通常価格」と称する価額は、Xにおいて本件7商品について通常販売している価格であり、「歳末特別価格」と称する実際の販売価格が当該通常販売している価格に比して安いかのように表示していた。実際には、「通常価格」と称する価額は、Xにおいて本件7商品について最近相当期間にわたって販売された実績のないものであった。消費者庁長官は、本件各表示が景品表示法5条2号(有利誤認表示)に該当するとして、同法7条1項に基づき、Xに対し平成31年3月6日、措置命令を行った。Xは、措置命令の取消しを求め、Y(国─被告)に対し本件訴えを提起した。以下では、主たる争点である本件各表示の景品表示法5条2号該当性について検討する。¶001