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 事実の概要 

X(抗告人、債権者、返還申立事件申立人、日本国籍)とY(相手方、債務者、返還申立事件相手方、日本国籍)は日本で婚姻し3人の子(F、C、D)と共に渡仏したが、Yがフランスで離婚の申立てをした後別居していた。Yは期間を定めてXの了解の下、子どもと共に日本に入国したが、約束の日を過ぎてもフランスには帰らない旨告げ、そのまま子どもと日本にとどまっている。そこでXは、Yによる不法な留置によりXの監護権を侵害されたと主張して、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(以下「実施法」という)に基づき、CおよびD(以下「子ら」という)をその常居所地国であるフランスに返還するよう、大阪家裁に申し立てた。大阪家裁は、Yに対して子らをフランスに返還することを命じる終局決定を下し、大阪高裁もこの判断を支持し、終局決定は確定した(以下「本件返還決定」という)。Xは、Y代理人弁護士に対し、子らのフランスへの返還またはXへの引渡しを求めたが、Yが応じなかったため、本件返還決定に基づき、大阪家裁に間接強制を申し立てた。一方この間、フランスの裁判所では、離婚訴訟の前の勧解(ここでは子らの常居所地をフランスとする仮の措置が出されていた)を経て審理が行われ、裁判所はX・Yの離婚を言い渡し、子らに対する親権は両者が共同行使すること、子らの常居所については、子らの最善の利益からYの住所に定めるほか、Xの訪問および宿泊の権利や養育・教育の分担を定め、このうち、親権の行使、子の居所等に関する判断は仮の執行力を有する、との判決を下した(以下「フランス離婚判決」という)。Xは控訴している。¶001