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 事実の概要 

XとYは、2011年に婚姻をしたが、2017年8月9日に離婚をした元夫婦である。Xは、離婚後2年が経過する直前である2019年8月7日、Yに対し、財産の分与に関する処分の調停の申立て(民768条2項)をしたが、調停不成立により終了したため、家事事件手続法272条4項によって、上記申立ての時に財産の分与に関する処分の審判(以下「財産分与の審判」という)の申立てがあったものとみなされた。原々審(広島家審令和2・6・30民集75巻8号3596頁参照)は、上記申立てを却下する審判をした。上記審判に対してYが即時抗告をしたところ、原審(広島高決令和2・10・29前掲民集3600頁参照)は要旨次のとおり判断してこれを不適法却下した。すなわち、財産分与の審判の申立てを却下する審判はYが受けられる最も有利な内容であり、Yは抗告の利益を有するとはいえないから、即時抗告をすることができない、という。これに対してYが許可抗告の申立てをしたのが本件である(なお、民法768条2項ただし書所定の期間の経過後にYの側からも財産分与の審判の申立てがなされ、不適法とされたが、本稿では割愛する)。¶001