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 事実の概要 

X(原告・被控訴人・被上告人)の運転する原動機付自転車は、平成28年1月5日、Aの運転する車両に衝突され(以下「本件事故」という)、Xは傷害(以下「本件傷害」という)を負った。政府は、本件事故が第三者の行為によって生じた業務災害であるとして、Xに対し、本件傷害に関し、労災保険法に基づく給付(以下「労災保険給付」という)として864万2146円を支払ったが、Xにはなお塡補されない損害として440万1977円の損害があった。そこで、Xは、平成30年6月8日、加害車両を被保険自動車とする自賠責保険の保険会社であるY(被告・控訴人・上告人)に対し、上記損害について自賠法16条1項による請求権(以下「直接請求権」という)を行使した。他方、国も、同月14日、Yに対し、政府が上記労災保険給付を行ったことに伴い労災保険法12条の4第1項により国に移転した直接請求権を行使した。Yは、Xの本件事故に係る損害額を傷害につき997万9262円と算定し、請求額に応じて案分して支払ういわゆる案分説に従い、同年7月20日、Xに対して16万0788円を支払い、同月27日、国に対して103万9212円を支払った(以下「本件支払」という)。¶001