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 事実の概要 

厚生労働省の社会保障審議会に設置された生活保護基準部会が取りまとめた平成25年度報告書を受けて、また、物価の動向を勘案して、厚生労働大臣(以下「大臣」)は、「生活保護法による保護の基準」における「生活扶助基準」を段階的に改定した。この改定(引下げ)は、報告書により示された乖離を解消するための調整(ゆがみ調整)と、物価の動向を勘案して生活扶助基準額を一律に4.78%減額する調整(デフレ調整)とから構成されている。これに対して生活扶助の支給を受けている者が、改定により、生活扶助の支給額を減額する旨の保護変更決定を受けたことから、訴訟を提起したものである。以下では、取消訴訟における裁量権の範囲の逸脱・濫用に関する判断のみ扱う。¶001