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Ⅰ 序論

近時、最高裁は、「宮本から君へ」と題する劇映画(以下「本件映画」という)に関し、被告独立行政法人日本芸術文化振興会理事長(以下「被告理事長」という)が文化芸術振興費補助金による助成金(以下「本件助成金」という)の不交付決定(以下「本件処分」という)をしたことについて、本件処分が被告理事長の裁量権の範囲を逸脱・濫用した違法なものであるとした。本稿は、「宮本から君へ」事件最高裁判決(最判令和5・11・17民集77巻8号2070頁。以下「本判決」という)を素材として、憲法上の表現の自由の保障との関係で、行政裁量に対する司法審査の手法・密度を考察する。¶001