CASE
¶001日本有数の製紙会社A社は、従来のトイレットペーパーに特殊な薬品とリサイクル用の紙を混ぜ合わせることによって、トイレットペーパーとしてではなく、卓上のティッシュペーパーとしても使える製品の特許を取得し、製造販売を始めた。しかし、製造販売を始めてまもなく、ライバル社のB社が類似のトイレットペーパーを製造販売したことを知り、B社に対して当該製品の製造販売の差止めと損害賠償を請求したいと思ったが、B社の製造工程は不明であり、B社の大工場にある製造機械を調べることも企業秘密となっているため、不可能な状態であった。A社の社長と法務部長としては、訴訟手続を開始する前に、B社の特許侵害についての証拠を収集しようと思い、A社の顧問弁護士であるC弁護士に対して、以下のような質問を発した1)。
・質問1
そもそも、わが国の法制度では本件のような場合、どのような証拠収集制度が利用可能なのか、今後のこともあるので、今回利用しない証拠収集手続全体についても教えてほしい。
・質問2
B社の製造工場は、原料や水の関係で、A社の工場と同じ静岡県F市に存在している。B社の本社は東京に存在しており、B社の工場に証拠収集のため立ち入れば、すぐにB社の本社に連絡され、証拠収集を止めさせるための対抗手段が採られそうである。そのような状況下で、どうすればB社が対抗手段を採る前に証拠収集手続を完了させることができるのであろうか2)。
・質問3
最近特許法等において、ドイツの査察制度にならって、裁判所の任命した査察官が相手方の会社に立ち入って査察する制度ができたと聞く。これを利用する要件等は、どのようになっており、ドイツではこの査察制度は上手く成功しているのだろうか。
・質問4
B社の販売数量や販売金額の情報をどのように入手し、その情報をどのように訴訟に利用できるようになるのだろうか。