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Ⅰ はじめに

日本の競争法執行における経済分析の活用は近年定着しつつあり、本連載の第4回で取り上げられた価格上昇圧力(Upward Pricing Pressure:UPP)や補償的限界費用削減率(Compensating Marginal Cost Reduction : CMCR)といった比較的簡便な手法に加え、より高度な手法である合併シミュレーションも用いられるようになっている。本稿では合併シミュレーションの根底にあるミクロ経済理論を解説しながら、この手法の特徴を明らかにする。また、現実の企業結合事案で用いられる際の工夫について、公正取引委員会(以下「公取委」という)による実施例に言及しながら論じる。以下ではで寡占市場のミクロ経済モデル(以下「寡占モデル」という)の仕組みについて解説した上で、において単純な寡占モデルによる企業結合の効果予測について述べる。では現実の合併シミュレーションが単純な寡占モデルとどういう点で異なるかを解説し、では結語を述べる。¶001