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Ⅰ はじめに

令和4年6月13日、「刑法等の一部を改正する法律」(令和4年法律第67号。以下、「改正法」という)が成立した。改正法は、大きく2つの内容からなり、1つは、施設内・社会内処遇の充実化のための法整備であり、もう1つは、侮辱罪の法定刑の引上げである。前者については、拘禁刑の創設、刑の執行猶予制度の拡充(再度の刑の全部の執行猶予を言い渡すことのできる要件の緩和、刑の執行猶予の猶予期間経過後の刑の執行の仕組みの導入)、刑の執行猶予制度の拡充に伴う保護観察処遇に係る規定の整備等、受刑者に対する処遇の充実化、被害者等の心情等を踏まえた処遇の充実化、刑執行終了者等に対する援助の充実化が、各種法令において整備された。本稿では、このうち、懲役と禁錮の区別を廃止し、自由刑の単一化を実現した「拘禁刑の創設」を中心に、その意義や課題などを論じるものである(なお、施行日は、公付の日から3年以内)。¶001