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対立する候補者の演説会場に押しかけて大声で妨害する、実態の伴わない大量の候補者を立候補させる、選挙ポスターを貼る権利を横流しする……¶001

最近行われた複数の選挙、たとえば衆議院の東京15区補欠選挙(2024年4月28日投票)や都知事選挙(同年7月7日投票)のことを思い浮かべただろうか。だが実はこれらは、1950年代から60年代に活躍(?)した「選挙ゴロ」と呼ばれる人々の活動に関する記述なのである。その代表的存在であった肥後亨は、「創価学会」「民主社会党」など実在する団体とは無関係の紛らわしい政党名や「反米遊撃隊」「国際共産機関」「国家社会主義日本労働者党」など本当はどのような政策を主張しているのかさっぱりわからない団体名を濫用し、対立候補の誹謗中傷や選挙妨害を活発に展開した。1963年に行われた第30回衆議院議員総選挙においては一郎・二郎・三郎以下連番で27人に及ぶ候補者を東京都の26選挙区と千葉1区(当時)に擁立し、「背番号候補」として世論の強い批判を浴びている。¶002