Ⅰ はじめに

刑の全部執行猶予(刑25条以下)1)は、刑事責任が比較的軽い事案で、刑の言渡しにより非難を伝えつつ、その感銘力や取消しの可能性に基づく心理強制を背景に、社会内での改善更生と再犯防止をめざす制度である。1950年代に必要的保護観察を伴う再度の執行猶予や初度の執行猶予の裁量的保護観察が導入されたこと、2000年代に執行猶予者の保護観察について特別遵守事項の設定が可能とされ、専門的処遇プログラムも導入されたことなどを通じて、積極的な社会内処遇と結びつけられ、また処遇の充実化・多様化が図られてきた。