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Ⅴ 取消判決の第三者効の意味
1 32条1項の解釈論
巽もう少しお付き合いいただいて、行政事件訴訟法32条1項をどういう規定として理解すべきかという話をさせていただきます。これまでの議論を踏まえて申し上げますと、行訴法32条1項は、実体的側面ないし基準性に加えて、訴訟法的側面ないし排除効も、何らかの意味で規定しているのだというところまでは、争いがないと思っています。¶002
本コーナー「研究関心の地平」は、若手研究者のご研究内容をより広く世に発信していただく場のひとつとして設けたものです。若手研究者の著作を主な題材として、それを直接読むのとは違ったかたちで、問題関心等をご発表・ご議論いただきます。本コーナーを通じ、新たな視点にも触れ、研究の広がりや面白さを感じ取っていただけますと幸いです。
最初の企画にあたる今回は、巽智彦/著『第三者効の研究――第三者規律の基層』が題材です。第1回・第2回で、興津征雄先生による書評論文を、そしてこの書評論文を受け第3回~第5回で、巽先生・垣内秀介先生・興津先生による座談会を、お届けいたします。どうぞご期待ください。(有斐閣Online編集部)
有斐閣
2017年09月刊
A5判上製カバー付・414頁
本体8000円+税
ISBN 978-4-641-22729-3
序 論
第1部 形成概念と第三者効
第1章 第三者効と第三者再審
第2章 形成訴訟論と対世効
第3章 形成力の意義
第2部 紛争解決と第三者効
第1章 ドイツにおける行政紛争解決
第2章 対世効による紛争解決
第3章 我が国における行政紛争解決
結 論
((4)より続く)¶001
巽もう少しお付き合いいただいて、行政事件訴訟法32条1項をどういう規定として理解すべきかという話をさせていただきます。これまでの議論を踏まえて申し上げますと、行訴法32条1項は、実体的側面ないし基準性に加えて、訴訟法的側面ないし排除効も、何らかの意味で規定しているのだというところまでは、争いがないと思っています。¶002