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▶ 事実

公正取引委員会(以下「公取委」)は、令和元年7月30日、世紀東急工業株式会社(以下「Z」)を含むアスファルト合材(以下「合材」)の製造販売業者8社に対し、合材に関する価格カルテルを行い独禁法3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為を行っていたとして、合計398億9804万円の課徴金納付命令を行った。カルテルメンバーの1社であるZは、28億9871万円の課徴金納付命令を受けたが、令和2年1月29日、公取委を被告として、本件課徴金納付命令のうち18億3417万円を超えて納付を命じた部分について、当該部分の取消しを求める取消請求訴訟を提起した(本稿では触れない)。Zの株主であるX(原告)は、Zが自認して争わない課徴金額を限度として、違反行為期間当時(遅くとも平成23年3月から平成27年1月27日)の取締役又は代表取締役であったY1~Y4(被告)に善管注意義務違反があったと主張して、Yらに対して、会社法423条1項に基づく損害賠償請求として、各々の在任期間に比例した損害金および遅延損害金を、Y1~Y4の責任金額の限度で連帯して支払うよう求めたのが本件株主代表訴訟である。¶001