事実

被告人は、❶別居中の妻(当時)が使用する自動車を駐車するために借りていた駐車場付近において、同車の存在を視認することによって妻の動静を把握するとともに、❷同車に全地球測位システム機能付きの電子機器(以下「GPS機器」という)を密かに取り付け、以後約3週間、多数回にわたって同車の位置情報を探索して取得することにより妻の動静を把握した。

1審(福岡地判平成30・3・12刑集74巻4号497頁〔以下「刑集○頁」と表記する〕)は、これらの行為がストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」ないし「本法」という)2条1項1号(平成28年法律第102号による改正前のもの)における「住居等……の付近において見張り」をする行為に該当するとして、ストーカー行為罪(本法18条)の成立を認めたが、控訴審(福岡高判平成30・9・20刑集509頁)は、❷の行為について同罪の成立を否定した。これに対し、検察官が福岡高判平成29・9・22高等裁判所刑事裁判速報集(平成29年)282頁に相反するなどとして上告した(各判断・主張の具体的内容は評釈で触れる)。