左から、林知更、石川健治、大村敦志、高田篤

Ⅰ.はじめに

司会を務めさせていただく林です。宜しくお願いいたします。

編集委員の宍戸常寿さんから特集のお手伝いを頼まれました。『論究ジュリスト』の最終号に相応しい大きなテーマを、ということで、今回の企画趣旨を立てさせていただいた次第です。憲法に関する教科書などでの体系的な説明では、立憲主義に関する解説が最初のほうに来て、そこでは「近代立憲主義」とその現代的変容といった図式で憲法構造の歴史的変遷が語られたりする。が、そこで念頭に置かれているのは、自由主義等に照準を合わせる形でモデル化された19世紀的近代が、20世紀前半から遅くとも各国で戦後憲法体制が固まる1970年代頃までにいかなる変容を遂げたかであったりして、その後現在までに何が生じたか(20世紀に観念された「現代」と、今我々の目の前にある「現代」では、無視し得ない差異があるはずです)を全体像として捉える試みは容易に成功していない印象を受けます。そこで、様々な各論的分野での検討を総合する中から果たして1つの全体像が浮かび上がってくるか否かを試みる、というのが本企画の問題設定でした。もちろんこれは、誰もが躊躇するような巨大な問題設定を敢えて試みるという意味で、一種の知的な挑発(巷では「大風呂敷」とも呼びますが)を意図したものでもあり、各執筆者がこの挑発にどこまで乗ってくれるかを含めて、何が出てくるかを楽しみにしているところです(企画趣旨を敷衍するものとして参照、林・本特集121頁以下)。