Ⅰ.建設アスベスト国賠訴訟の概要

建設アスベスト訴訟とは、石綿粉じんに曝露し石綿関連疾患にり患した建築作業従事者らが、国に対し、労働安全衛生法(以下「安衛法」という)等に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法(以下「国賠法」という)1条1項に基づき損害賠償を求めるとともに、建材メーカーらに対し、石綿含有建材の危険性を表示することなくそれを製造販売したことなどを理由として、不法行為に基づく損害賠償を求めた訴訟である。本稿は、いわゆる建設アスベスト訴訟上告審判決の意義について、行政法の観点から分析しようとするものである。