Ⅰ.はじめに

本稿は2021年5月21日に成立した「少年法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第47号。以下、「改正法」とする)のうち、原則逆送対象事件の拡大及びそれに関わる内容について、理論的検討を加えるものである。

紙幅の都合上、改正の経緯の詳細については本特集の玉本論文に委ねるが、改正法では「特定少年の特例」についての章が設けられ、18歳及び19歳の年齢層については18歳未満の少年と少年法の適用がない20歳以上の者との中間層として位置付けられる「特定少年」として少年法の対象に留まり、特定少年に対する特則として一般的な逆送要件の拡大と原則逆送対象事件の拡大を内容とする「検察官への送致についての特例」、審判を開始した事件につき、少年が特定少年である場合には、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内において、決定をもって、改正法64条1項各号に掲げる保護処分のいずれかをしなければならないとする「保護処分についての特例」、不定期刑及び仮釈放に関する特則、換刑処分に関する特則、資格制限に関する特則、推知報道の制限などの刑事事件の特例の不適用を内容とする「刑事事件の特例」などの規定が少年法に加えられた。