Ⅰ.はじめに

ソウル中央地裁は2021年、韓国の元日本軍慰安婦らが日本政府に対し損害賠償を求めた事件で、国家免除について相反する判断を含む2つの判決を出した。1月8日判決は日本の国家免除を否定した上で原告らの請求を認容したのに対し、4月21日判決は日本の国家免除を認めて訴えを却下した。両判決は日韓間の外交関係といった文脈で注目を集めているが1)、国家免除という国際法上の制度から見た場合には、これまで繰り返し議論されてきた、強行規範に反する重大な人権侵害行為に対して国家免除は認められるかという問題に関係している。