はじめに

米中関係が悪化傾向にあるなか、「内政不干渉」は中国外交行動を擁護する上で重要なキーワードと化し、中国の外交官や外交スポークスマンが頻繁に使う常套句となっている。2021年3月にアラスカで行われた米中外交トップ会談において、中国の外交トップである楊潔篪はアメリカの内政干渉と覇権的な行動に強く抗議し、王毅外相も「中国の国民は内政干渉に対して怒りを覚えている」1)とアメリカに釘を刺した。

新疆、チベット、香港、台湾にかかわる諸問題は中国にしてみれば、内政問題に属し、内政不干渉の原則が適用される。近年、こうした問題をめぐる対立は米中両国にとどまらず、国際的な広がりを見せている。2021年6月に開かれた国連人権理事会の第47回会合の場において、カナダの主導のもとでアメリカや日本を含めた44カ国が名を連ねた共同声明が出された。この共同声明は新疆における恣意的な人的拘束、強制労働問題について深刻な懸念を示した。他方、ベラルーシの主導のもとで65カ国が人権問題で中国の立場を支持し、新疆、チベット、香港問題は中国の内政問題であり、干渉してはならないと主張する声明を出した。また湾岸協力会議(GCC)6カ国も中国の立場を支持する書簡を出したという。