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Ⅰ. はじめに
インターネット上のプラットフォーム(以下「PF」)を介した労働関係は容易に国境を越えうる1)。例えば、次の2つのケース(以下まとめて「仮想事例」)を想定してみよう。¶001
Case 1Y1は、個人による二輪車での小包配送サービスを仲介するオンラインPFを運営する、A国(外国)の会社である。Y1は、現地法人を設立せずに日本国内でもサービス提供を始めた。X1は、日本に在住する者であり、当該PFに配達員として登録して稼働している。X1は自身の報酬が日本の最低賃金水準に満たないことを不満に思い、日本の裁判所において差額の支払を請求する訴えを提起した。なおアカウント登録時の利用規約には、A国裁判所を専属的合意管轄裁判所とする条項およびA国法を準拠法とする条項が設けられていた。¶002