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Ⅰ. はじめに
法人税の国際課税ルールに関する今回の歴史的合意は、グローバルに活動する大規模グループ企業に対して大きな影響を与える。なぜなら、市場国へ新たな課税権を付与する第1の柱、及び、世界中の多国籍企業に対して少なくとも最低税率の負担を求める第2の柱は、前者が、PE(恒久的施設)帰属主義と独立企業間原則という居住地国有利の現行の課税権配分ルールを是正するものであり、また、後者は、源泉地国が取り組んできた法人税率引下げ競争の成果を奪うものであって、いずれも、国境越投資の主体である多国籍企業の事業の税引後収益性を、将来に向けて攪乱する効果が顕著と思われるからである。¶001