Ⅰ. はじめに

本特集では、気候変動や人権問題など国際社会が向き合うべき課題の観点からの論稿が多く寄せられている。これに対し、「企業」という視点は、課題から生ずる規制に影響を受ける客体、またSDGsに関する政策がメインストリーミング1)される中でその推進主体2)に焦点を当てるものであり、①なぜ企業がこのように位置づけられるようになり、位置づけられうるのか、②個別の課題に応じた規制によってどのように影響を受けるのか、が論じられる。①については、民間の存在である企業が政策の担い手とされるようになった社会的背景として、リーマンショック等により公的資金の注入を受けた企業の機能や性格に対する理解が変化したのだという指摘がある3)。より長期的には、新自由主義に伴う累進課税の後退4)や冷戦終結による社会的再分配への警戒感の後退を経て5)、貧富の差が近年拡大したことに対し企業としての対処が必要となってきたという面もあろう。