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事実

本件は、幼児用椅子「TRIPP TRAPP」(本件椅子)に係る著作権の譲渡を受けたX1(オプスヴィック社。原告・控訴人・上告人)と、同著作権の独占的利用権を取得し本件椅子を製造販売等するX2(ストッケ社。原告・控訴人・上告人)が、幼児用椅子を製造販売等するY(被告・被控訴人・被上告人)に対し、不正競争行為及び著作権侵害等に基づき、対象製品の製造販売等の差止めや損害賠償等を求めた事案である。¶001

本件椅子のように量産されて日常生活の中で実用に供されることが予定されている物品(量産実用品)の著作物性に関し、第1審判決(東京地判令和5・9・28判時2611号86頁)及び原判決(知財高判令和6・9・25裁判所Web〔令和5年(ネ)第10111号〕)は、表現に多少の差はあるものの、いずれも、実用目的に係る機能と分離して、それ自体独立して美的鑑賞の対象となる部分を備えているかとの基準を示し、本件椅子は、椅子としての実用的な機能を離れて独立の美的鑑賞の対象とすることができるような部分を有するということはできないとして、その著作物性を否定した(第1審判決及び原判決の本欄の評釈として、黒田薫・ジュリ1593号〔2024年〕8頁、同・ジュリ1606号〔2025年〕8頁)。¶002