FONT SIZE
S 文字の大きさを変更できます
M 文字の大きさを変更できます
L 文字の大きさを変更できます

 事実の概要 

2011年3月の東北地方太平洋沖地震後の津波により福島第一原子力発電所が浸水し、原子炉冷却用設備が電源を喪失したため、原子炉から大量の放射性物質が放出された。この結果、同原発を設置、運転する原子力事業者であるZ社(東京電力〔当時〕─補助参加人)は、近隣住民等に対する損害賠償や廃炉・除染作業のために巨額の費用を負担するに至った。¶001

Z社の株主であるXらは、Z社の取締役であったY1~Y5は原発の大規模事故の発生を予見しえたのに必要な対策を講じることをしなかったことが善管注意義務違反にあたるなどと主張し、Yらに対して株主代表訴訟を提起し、会社法423条1項の損害賠償請求として、損害金22兆円などをZ社に支払うよう求めた。原審は、Yら5名のうち、Y5を除く4名について善管注意義務の違反(任務懈怠)および損害との因果関係を肯定し、13兆3210億円などの賠償を命じた(東京地判令和4・7・13判時2580=2581号5頁〔原判決〕)。これを不服として、XらとY1~Y4の双方が控訴をした。¶002