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Ⅰ 買収実行前の準備――デュー・ディリジェンス(DD)における留意点・買収関連契約等における手当て

Q₁

連載第2回によれば、PMIにおける体制について、対象会社の機関設計や役員構成、資本構成等について早くから検討することが重要とのことですが、そうした検討を踏まえ、買収実行に先立つDDや買収関連契約に関する交渉においてあらかじめ留意しておくべき点は何でしょうか。

¶001

A₁

DDや売主側との協議では、買主側が当初想定していなかった事情が明らかになることが多くあります。買主としては、特に対象会社の現在の経営体制等について積極的な情報収集に努めた上、必要に応じて、もともと想定していたPMIのプランを修正しつつ、買収実行後の速やかなPMI実現に資する規定を、株式譲渡契約をはじめとする買収関連契約に組み込んで合意することが重要となります。

¶002

1 DDでの発見事項とPMI

デュー・ディリジェンス(DD:Due Diligence)は、一般に、対象会社の現状に関する情報を徹底的に洗い出し、買収するか否かの投資判断を適切に行うためのプロセスと捉えられることが多いと思います。この捉え方は適切ではあるものの、DDによって得られる情報の多くは、買収実行前の投資判断にとどまらず、買収実行後の統合(PMI:Post Merger Integration)における体制づくりの検討にあたっても有用なケースが多くあります。前回、PMIの成否のカギは、なるべく早期にPMIのビジョンを描くことであると述べましたが、実際の流れとしては、DDや売主側との協議で得られた新たな情報を基に、いったん描いたビジョンを柔軟にアップデートし、それを基にまた協議を重ねていくことが重要といえます。¶003

特に、連載第2回においてPMIの体制に関する検討の視点として挙げたような「機関設計」「役員の構成」「資本構成」に関する事項は、DDにおいても注目する必要の大きいポイントといえるでしょう。¶004

本稿においては、連載第2回と同様に、議論を分かりやすくするため、数あるM&A取引の類型の中でも、事業会社が非上場会社である事業会社の株式を取得して子会社化する場面をベースケース(標準的な設例)としています。また、特に断りのない限り、会社法の条文を引用する場合、条文番号のみの記載とします。¶005

(1) 役員に関連するポイント

例えば、役員の構成に関しては、以下のような点が問題になることが多いと思われます。¶006