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Ⅰ 序――高柳テーゼの再考に向けて

現代の学問研究は、分野・領域の性格によってその多寡に大きな違いはあるにしても、いずれも研究者の私財では賄えない研究資金(及び人的・物的研究資材)なくしては遂行できない。高柳信一はすでに1960年代後期に、研究手段から切り離されている現代の教員研究者は学問の自由の一環として「研究に必要な、ひものつかない資金を請求しうる権利」(ただし、直ちに裁判上請求できる具体的権利ではない)を保持する、という大胆なテーゼを打ち出していた。その中身は、①教育研究手段を賄う資金の提供者が、その支給のあり方によって教育研究者の教育研究意思とその内容を直接・間接に統制してはならないこと(たとえば、受給者の思想信条を条件としないこと、教育研究の内容ないし具体的過程への統制権を留保しないこと)、②教育研究者の社会的使命達成を可能ならしめるだけ十分に教育研究費が(国庫ないし国民経済から)支給され、その配分・使用について教育研究者集団の実質的な自主決定権が認められること、という2つの原則であった1)¶001