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憲法①で取り上げる判例

【人権】

  • 最大決令和3・6・23判時2501号3頁(夫婦同氏制の合憲性)
  • 最大決令和5・10・25民集77巻7号1792頁(性同一性障害者特例法違憲事件)

【選挙制度】

  • 最二小判令和2・10・23判時2481号9頁(参議院選挙比例代表特定枠制度の合憲性)
  • 最大判令和2・11・18民集74巻8号2111頁(令和元年参議院選挙議員定数配分違憲訴訟)
  • 最大判令和5・10・18民集77巻7号1654頁(令和4年参議院選挙議員定数配分違憲訴訟)

(憲法①(前編)より続く)¶001


Ⅱ 選挙制度関係訴訟①――拘束名簿式比例代表制の憲法上の問題

1 参議院選挙比例代表特定枠制度の合憲性

田中後半は、主に選挙制度関係の事件を取り上げたいと思います。まず、最高裁第二小法廷令和2年10月23日判決(判時2481号9頁)です。令和元年実施の参議院議員選挙のうち、比例代表選出議員の選挙の合憲性が争われた事件です。参議院の比例代表選挙は、平成12年の公職選挙法改正により、それまでの拘束名簿式から非拘束名簿式に変わりましたが、平成30年の同法改正により、非拘束名簿式比例代表制を維持しつつも、政党その他の政治団体等の判断により、優先的に当選人となるべき候補者を定めることができるものとする、いわゆる特定枠制度が導入されました。本判決の多数意見は、比例代表制を合憲とした従来の判例(最大判平成11・11・10民集53巻8号1577頁、最大判平成16・1・14民集58巻1号1頁)を引用し、投票の結果すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点において、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異なるところはないとして、特定枠制度も合憲としています。¶002